
創業、昭和6年。葛城山の麓、御所で醤油造りを続けてきた片上醤油。戦後、多くの醤油メーカーは、製造の効率化と近代化を進めたが、杉の木桶を使う天然醸造こだわってきた。これは、蔵や木桶に常在する菌の働きによって、大豆と小麦を発酵させる方法。無添加無調整にて、1年以上じっくりと寝かせることで、この蔵とそれぞれの木桶にしか出せない深い味わいになる。
「私らの仕事は、怠けずに手間をかけ、菌の働きを助けること。あとは、注意深く見守るだけ。」と語るのは、3代目となる片上裕之さん。原料となる大豆は、ほぼ奈良県産。通常よりも多く使用するのが特徴で、造り手の情熱も加わって、濃い味わいに仕上がる。
「この機会に、大量生産の醤油とは異なる、天然醸造ならではの風味を知ってほしい」と片上さんは想いを馳せる。