
堀内果実園は、西吉野に農園が広がっており、堀内俊孝さんは、6代目の当主である。種なし柿や富有柿といった柿をメインに、梅、ブルーベリーなどを栽培している。できるだけ安全な食材を届けたいとの思いから、農薬を減らした特別栽培に取り組み、木材チップや牛糞などを用いた土作りに励んでいる。そのため、園内の土はやわらかく、多くの微生物が共存することで、豊かな養分を作物に供給しているのだ。
「柿は、標高400~500メートルが栽培に適しているようで、おいしい柿が実ります。果物は多様性が高い食材なので、上手に活かしていきたい」。堀内さんは、農業も他業種と同様に活躍できるようにと考え、六次産業化に取り組んできた。イベントなどに参加しながら、消費者のニーズを聞き、新商品の開発にも積極的だ。「それぞれのライフスタイルに合わせて果物を取り入れてもらいたい」と堀内さん。

堀内果実園が製造する加工品は、ドライフルーツ、コンフィチュール、シロップなど、多岐にわたる。市場出荷には向かないような完熟した果物を使うことができるのが、大きなメリットだ。ドライフルーツは、果物の種類によってカットの形や厚みを変え、乾燥の方法や時間を調整し、本来の味わいが楽しめるように工夫している。コンフィチュールも、手作業で煮詰めるうえ、果実感が残るように仕上げているのが特徴だ。
無添加だから、安心。品質はもちろんのこと、女性デザイナーがデザインしたラベルも洗練されており、贈答品としても喜ばれている。
2017年には、直営となるカフェショップも奈良市にオープンした。また、今後は柿の葉を使ったお茶や果物の種から作るコスメグッズなどの開発にも取り組んでいくとのこと。
「毎年、3~4アイテムは新商品を開発しています。農産物はたくさんあるので、天然素材を生かして、奈良にしかない商品を作っていきたい」と堀内さん。今後の展開から目が離せない。