コーポレート・ガバナンス
Corporate governance
当社は、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題の一つと捉え、ステークホルダーとの間に良好な関係を築くとともに、経営の透明性と公正性を高め、経営監督機能の強化、コンプライアンスの推進を柱とするコーポレート・ガバナンスの充実を図ります。
当社では、経営理念に基づき、法令・ルールはもとより、社会規範を尊重し、良識ある事業運営を心がけ、企業の社会的責任を果たすため、全ての役員、従業員がその趣旨を理解し、お客様と社会に奉仕・貢献するための日常の業務遂行の基準を、近鉄百貨店(グループ)企業行動指針としてまとめております。企業行動指針においては、当社のステークホルダーである、お客様、お取引先、株主・投資家、地域・社会および社員との間で良好な関係を築くことを定めております。
持続可能な社会を実現し、社会的責任を果たすためには、お取引先様のご理解とご協力が不可欠と考えており、近鉄百貨店とお取引先様が共に遵守すべき基本的な指針や行動原則を「お取引先様行動原則」として策定しました。近鉄百貨店は、お取引先様と共に社会的責任を果たし、企業価値の向上を目指していきます。
なお、2023年1月には、お取引先様に対し、「お取引先様行動原則」についての説明会を実施し、ご理解とご協力をお願いしました。
近鉄百貨店 お取引先様行動原則
法令の遵守
・適用される法令、規制、基準、国際ルールおよび社会規範を遵守します。
人権・労働環境への配慮
・企業活動に関わる全ての人の人権を尊重、保護します。
・あらゆる差別・各種ハラスメントを禁止し、従業員の機会均等を確保します。
・児童労働や強制労働などの不当な労働は許容しません。
・従業員の賃金は最低賃金以上を支払います。
・従業員の労働時間および休日に関する法令を遵守し、過重労働を防止します。
・従業員の安全衛生に配慮した健康的な労働環境を確保します。
・従業員の健康維持、増進に努めます。
・従業員の権利を尊重し、経営陣との健全な対話ができるよう配慮します。
公正な取引
・公平公正な取引を行い、市場の自由競争を阻害しません。
・不正を防止し、不適切な利益供与や受領をしません。
・反社会的勢力とは関係を持ちません。
・社内通報者の保護に配慮します。
品質の管理
・商品やサービスの品質、安全性および適法性を確保します。
環境への配慮
・温室効果ガスの排出量削減、エネルギー・水等の資源利用の低減に努めます。
・環境への負荷を低減し、汚染物質・廃棄物の排出の管理・削減を適正に行います。
・自然環境保護に努めます。
情報の保護
・個人情報、機密情報、知的財産は適正に取扱い管理します。
当社は、「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」の趣旨に賛同し、「パートナーシップ構築宣言」を公表いたしました。「パートナーシップ構築宣言」は、サプライチェーン全体のお取引先や価値創造を図る事業者との連携と共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築すること、下請け事業者との望ましい取引慣行を遵守することなどを社内外に明確に示すものです。
当社はこのたびマルチステークホルダー方針を策定いたしました。法人が事業を行う上での、従業員や取引先等の様々なステークホルダーとの関係の構築の方針として、賃金引上げ、教育訓練等の実施、取引先との適切な関係の構築、等の方針を記載したものです。
当社は企業統治の基本として監査役制度を採用し、会社の機関として、会社法に定める株主総会、取締役、取締役会、監査役、監査役会および会計監査人を設置しております。
また、任意の仕組みとして執行役員制度を採用しており、経営の意思決定・監督機能を担う取締役と業務執行機能を担う執行役員の役割を区分することにより、迅速で効率性の高い企業経営を行っております。
(1)取締役会
取締役会の多様性を確保するため、独立社外取締役として当社初の女性取締役である廣瀬恭子氏を選任しております。経済人としての豊富な経営経験と高い見識はもちろんのこと、百貨店業を営む当社として不可欠な女性目線での助言を期待しております。取締役会は、議長を取締役会長が努め、原則として毎月1回開催するほか、必要に応じて臨時取締役会を開催し、取締役会規程に定める付議事項を決議・報告しております。
(2)指名・報酬委員会
取締役会の諮問機関として、取締役会長および社長執行役員並びに独立社外取締役および独立社外監査役で構成される指名・報酬委員会を設置しており、毎年1回以上開催することとしております。同委員会では、取締役等の指名と報酬に関して審議し、その結果を取締役会に報告しております。
(3)監査役会
監査役は4名ですが、うち2名は社外監査役であり、監査の厳正、充実を図っております。監査役会は原則として毎月1回開催し、監査役会規程に定める付議事項を決議・協議・報告しております。
(4)会計監査人
有限責任あずさ監査法人と監査契約を締結しております。
当社の取締役会は、定期的に取締役会の実効性の分析・評価を行っております。2022年2月には、取締役および監査役全員を対象として自己評価を実施し、その結果に基づいて取締役会で分析・評価を行いました。
その結果、当社の取締役会の構成や運営状況について取締役および監査役の自己評価は概ね肯定的であることに加え、新規事業への取り組み等付議案件以外の報告もあり、取締役会の活性化が図られているほか、東証新市場区分への対応や重要事項が適切に付議されるなど、会社経営の在り方について、より深い議論ができるようになっており、取締役会の実効性は十分に確保されていると判断しております。
一方で、子会社の経営状況・あべのハルカス近鉄本店以外の各店の経営課題についてのより詳しい報告を期待する意見や、取締役会機能のより一層の充実のため、多様性の確保について検討するよう求める意見も提示されました。
これらの結果に基づき、当社は、継続的に取締役会の機能向上に取り組んでまいります。
当社グループで働く従業員(お取引先従業員を含む)から企業行動にかかわる法令、社内規則および倫理規範に反する行動に関し、内部通報・相談を受け付ける窓口として、「近鉄百貨店(グループ)コンプライアンス相談窓口」を設け、適切な措置を講じるための体制をとっています。
お客様が安全に、安心してお買い物を楽しんでいただけるように、施設や設備に係る様々なリスクに備えることのほか、防犯、防災への取り組みを強化するなど、商品やサービス、売場環境の両面で、お客様を最優先する環境づくりを進めています。
緊急時の対応として、各店における自衛消防組織の設置をはじめ、緊急地震速報訓練や防火・防災に関する訓練、救命講習などの実施、緊急時行動マニュアルの配布を通じ、災害が各店で起こったときの人命保護、パニック防止に向けた取り組みを進めています。また、緊急地震速報システムにより、地震発生の速報を受信したときには、自動的に店内放送を行うとともに、事業継続計画(BCP)および地震対策マニュアル、従業員の安否確認システムを活用し、店舗の早期復旧に寄与するシステムと連絡体制を整備しています。
品質表示マニュアルや食品衛生管理マニュアルの整備を通じ、品質管理および衛生管理に取り組んでいます。特に、食の安全・安心に関しては、近鉄グループの(株)くらし科学研究所による定期的な品質チェックのもと、厳しく管理するとともに、食品衛生法の改正にともなう「HACCP」 の考え方を取り入れた衛生管理をお取引先との連携により実施し、食中毒予防に取り組んでいます。また、食品担当者を対象とした食品衛生講習会、商品の品質・表示調査を定期的に実施し、食品衛生管理体制の強化を行っています。
当社では、グループ会社を含めたリスクを適切に管理することを目的に、基本的な事項を定めた「リスク管理規程」を制定し、リスク管理機関の役割や管理体制をはじめ、リスクレベルに応じた対応等を定めています。
また、全社におけるリスク管理および重大リスク発生時の各部門の対応を効果的・効率的に調整することを目的に、リスク管理委員会を設置し、平常時を含めたリスク管理体制の運営を行っています。
主要なリスク | 想定されるリスク | リスクへの対応 |
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新たな感染症の 拡大による影響 |
新たな感染症の流行に伴う、
・店舗休業、営業時間の短縮 ・消費マインドの低下 ・クラスター発生等による店舗運営人員の不足 |
・国等および小売業の各種ガイドラインの遵守 ・在宅勤務およびWEB会議の利用拡大 ・ネット販売・外商部門の強化など行動様式の変化に応じた事業戦略への転換 |
経営環境 | ・地方・郊外の人口減少 ・景気悪化・消費の低迷 ・流通業界における競争激化 |
・ESG経営の推進 ・店舗構造改革、コスト構造改革の推進 ・各店舗の商圏特性に合わせた店づくり ・新規事業の戦略的拡大 |
商品取引 | ・製造・販売する商品の品質や食品の安全性に対する信用毀損の発生 ・取引先の倒産による売掛金の回収不能等による損失の発生 |
・関係法令の遵守状況の確認および定期的な品質・衛生管理のモニタリング ・掛売先の与信管理の実施 |
法律の規制、 制度の変更 |
独占禁止法等の各種法規制に抵触した場合における社会的信用の失墜、企業活動の制限 | ・関係法令・規則の制定、改正等の動向についてのモニタリングの実施 ・弁護士等専門家への相談および意見聴取 ・社員教育等による法令遵守の周知徹底 |
災害 | 大規模な地震等災害発生に伴う、
・店舗等の復旧にかかる多額の費用と時間の発生 ・仕入先被災による商品調達の停滞 ・経済全体の消費マインドの冷え込み |
・緊急地震速報の受信装置の主要店舗への設置、危機管理マニュアル作成・配布 ・消防法に基づく定期的な検査・訓練等の実施 ・社会的責任を果たすことを目的とした事業継続計画(BCP)の策定 |
情報管理 | ・自然災害の発生、コンピュータウイルスの感染等に伴うPOS等各種情報システム機能不全による営業支障 ・個人情報漏洩等による社会的信用の失墜 |
・電源の二重化、バックアップシステム構築、不正侵入防止プログラムの実施 ・個人情報保護管理規程などの社内規程等の整備、情報システムのセキュリティ向上、従業員教育の充実 |
資金調達・金利変動の リスク |
・経営不安による資金繰りの悪化 ・急激な金利変動 |
・取引金融機関との間で情報交換 ・一定程度を長期固定金利で調達 ・銀行取引以外の信金調達方法の検討 |
ESG経営への 取り組みの遅れ |
・ステークホルダーからの信用失墜 ・気候変動リスク ・炭素税規制による増税リスク |
・ESG推進および取り組み状況の開示 ・シナリオ分析の導入 ・再生可能エネルギーの導入 |